2019.09.09
デザイン思考とバリューグラフ
デザイン思考という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私がこのデザイン思考を知ったきっかけというのが、先日バリューグラフと言うツールを体験する機会があったからです。
ある日の夕方、会議室にてバリューグラフを使用して、デザイン思考を行うぞということで、いざ実際にやってみました。
とは言っても、なんだか聞きなれない単語が並んで分かりづらいですよね。デザイン思考は手法、バリューグラフはその手法を行うためのツールという考えで大丈夫です。もう少しバリューグラフについて説明すると、複数人で最初に提示されているアイディアに対し、上位目標が何であるかを探りながら実現方法を考えていきます。その過程で考える実現方法は一つだけではなく、別な実現方法も考えていくことで目標を達成するための手段を広く検討できるツールです。
バリューグラフを使用する目的は、みんなで考えたアイディアに対し特定の目標を決め、アイディアから目標までに考えられる実現方法の可視化、共有化を図ることでデザイン思考を高めることです。目的までの過程が可視化されることで新しい可能性に気づき、本来気づかなかった実現方法を提案できるようになるのです。端的に言うと、ひらめきの機会を無理やり増やそうと言うのです。
それでは目的がはっきりしたところで、実際にバリューグラフを使って組織デザイン思考を実施してみましょう。
用意する物は色が違う付箋を二種類、あとは人数分のペンです。
2種類用意したのはピンクが考えたアイディアに対するための実現方法、緑がその実現方法に対する別な実現方法という風に一つの実現方法に縛られずにグループで自由に考え、その考えに対して更に上位の実現方法を考えさせるためにあります。
ただ、考えついた実現方法が不要と判断された場合はバリューグラフ上から除外する方向で進めました。
始める前にグループでアイディアを掲げます。このアイディアから最終的に上位目標を探るために各自スタート地点のアイディアから上位目標に向かって実現方法を挙げていきます。思いついた人からピンクの付箋に書き出してアイディアの上部に貼り付けていきます。この時貼り付ける場所に特に決まりはないです。あらかた実現方法が上がった後にジャンル分けしますので。
参加したグループの一人である私も掲げたアイディアに対して実現方法をいくつか挙げてみましたが、上位目標がまだはっきりしていないため、書き出す内容ははっきりとした物ではなく、なんとなくこうした方が良い方向性に向かうだろうという、抽象的な考えでした。それは他のメンバーも同じようで実現方法が上位目的に近づくにつれ、ピンクの付箋に書かれる量は減っていきました。
緑の付箋の方はどうかというと緑の付箋は考えた実現方法の代案であるため、ピンクの付箋程書き出すのに時間はかかりませんでした。既にある実現方法から考えるだけなので、これから考える実現方法より考える難易度は低く感じました。
ただ、バリューグラフを使ったこの手法はより高い実現方法を考えたとしても、すぐに上位目標が現れる訳ではなく、グループで各自出された実現方法が上位目標に近づくにつれ、いくつか上位目標に近い内容が複数提案されていきます。その内容をグループ内で議論し、これまでのバリューグラフで枝分かれした実現方法とスタート地点となっているアイディアを紐づけて、ゴール地点となる上位目標を考えます。実際、グループ内で上位目標が上がったのは高い実現方法が複数上がってからのことでした。その時は突然訪れ、バリューグラフは終わりを迎えました。
完成したバリューグラフを見てみると、スタート地点のアイディアからゴールとなる上位目標までいくつもの実現方法がジャンル毎に分かれ枝分かれしています。このバリューグラフの面白いところはグループで各自考えた結果までの過程がどのように 考えているのかを把握することができることです。
例えば今回参加した5人がスタート地点となるアイディアから上位目標を考えてください、言われ考えたとしましょう。上位目標が決まりました。ですが、その上位目標は複数上がりました。そこからグループ内で話し合い、複数の上位目標から候補を絞り、一つに決めます。ここで上位目標を一つに決める話し合いの論点となるのは、どうしてそのような上位目標を考えたのか、ということになるでしょう。
おそらく返答として多いのは、スタート地点からゴール地点までの考えたであろう実現方法を伝えてるでしょう。ですが、その実現方法がなぜ思いついたのか、その方法しかなかったのかまで掘り下げて話してと言われると言葉を濁すでしょう。全て順を追って話すこともできるかもしれませんが、蛇舌になる可能性もあるでしょう。色々実現方法を思いついた。そこから更に上位の実現方法を思いついた、他にも代案となる実現方法を思いついた。それで、色々悩み結論を出した。こんなことを相手から説明されても頭を縦に振り、納得するのは難しいでしょう。そのような状況で上位目標を一つに絞るとなると口論は絶えないでしょう。
今回実施したバリューグラフは最初に掲げた『みんなで考えたアイディアに対し、デザイン思考を高めつつ目標を決めよう』を過程をグループ内で共有でき、かつ上位目標を長い口論なしで挙げられた実現方法から自然と答えが導き出される、情報の共有化が可視化できる素晴らしい手法です。是非グループ内でアイディアから目標を決めたい方は使ってみてはいかがでしょうか?
長い口論や、相手を説得させるような労力も減り、結果までの過程も可視化されるのでグループ内で話し合いがスムーズにいくことでしょう。